日々、倉庫番に悩まされながら。
日々、より多くの人を悩ませる倉庫を作り続ける。
そんな日々のブログ。

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  私が奴と出会ったのは、春先の晴れた午後だった。
  陽気に誘われ町に出た私は、咲きかけた桜の下を何気に歩いていた。
「ん?」
  前から派手な格好をした男が、右へ左へと道行く人に誰かれとなく声をかけている。
  オーバーオールに赤いシャツ、黄色いキャップという出立ち。
  一見子供のようにも見えるのは、派手を通り越してもはや珍妙に近いスタイルだからかもしれない。
  新手のサンドイッチマンか?
  道は遊歩道。それほど広くない。引き返すと追いかけられそうだ。
 話しかけられると、いやだなぁ。
  たまたま私の前には二人連れの女の子が歩いている。
 そうだ、前を行く彼女たちに奴が声をかけている隙にやり過ごそう。
  そう考えて、少し歩を進め女の子たちとの間隔を詰めた。
  これなら躱せると、間合いを見計らっていた。
  我ながら抜かりはない。
  果たしてオーバーオール男が目の前に来たとき事件は起こった。
「ねー君たち・・」と奴は予想通り前の二人組に声をかけた。が、その「ねー」という声が聞こえるか否やの瞬間、二人の女の子は踵を返しUターンした。
  その見事なタイミングに、オーバーオール男も意表をつかれたようだったが、私も面喰らった。
  予想していなかった私は、思わずオーバーオールと目を合わせてしまった。
  我に帰るのが奴の方が一瞬早かった。
しまった。
  相手もそう思ったのだろう。
  奴の「チッ」と軽い舌打ちを私は見逃さなかった。
「いやいや、チッ!はこっちだろう」なんて心で突っ込んでいたら、奴が話し出した。
  さっきの「チッ」が嘘のように、目がうるうるしている。
なっ、なんだぁ〜?
「あの〜僕、ラビっていいます・・・」
  ますます怪しい。
  新手の詐欺か?
「あのう、僕お腹がペコペコなんですぅ。アルバイトに雇ってもらえませんか?前借りで」
  何が小さい『ぅ』だ?あ〜?前借りだと?
  その時、奴の手がしっかり私の袖を掴んでいるのに気付いた。
  それも半端ではない力だ。
  絶対に離さないという決意が手に込められている。
「倉庫係でもなんでも結構ですぅ~」

  心地よいはずの春先、私の心には秋風が吹いていた。
  それが奴との出会いだった。

  つづく。
してはいけません
 




 


倉庫番を作ったのが1981年。
いや、もう少し前だったかな。
個人で作って、知り合いや家族に解かせては、その悩む姿にほくそ笑んでいた。
会社を作る前のことだ。
だから、その時はまだラビくんという名前はない。
ラビくんという名前は、その後シンキング・ラビットという会社名から安易に取ったものだ。
何が安易って、これほど安易なネーミングはないだろう。
思い返すも他に何かあるだろう。
後の事だが、あるメーカーが倉庫番を移植した時、形助(かたすけ)という名前にされたことがあった。
片付けるから、形助というのも安易だが、ラビットからのラビよりマシかもしれない。
違和感はあるが、会議で悩んだ末の結果であろう。
それがどんなメンバーだったかは想像に難くない。
なんたって形助だ。

やがて、ラビくんという名前は私の分身になった。
さて、そうなると、私は倉庫職人であり、片付けるラビくんであり、会社名でもあり、会社社長ということになる。
自分で、倉庫番を考えて、自分で面を作って、自分で解いて、自分で売っていたのである。
自家撞着もいいところ。
これでは、まるでミステリー「シンデレラの罠」じゃあないか。
『私はその事件で探偵です。また証人です。また被害者です。そのうえ犯人なのです。』というアレだ。
そういえば、この作品名を倉庫のタイトルにした覚えがある。(倉庫番Touch ファーストステップ#4/02)
まあ、小説ほどトリッキーではないことだけが心残りである。
今となっては遅いが、これも安易に名前をつけるんじゃあなかったと反省している。

ここまで書いておいて、ラビくんの名前といい、倉庫のタイトルといい、安易この上ないことに気づいた。
わっ、そういえば倉庫番エディターを考えたのも、人に倉庫面を作ってもらって儲けようという安易な考えだった。
そうだったのだ。自分の人生は安易の上に成り立っていたのか。(木枯らしヒュ〜)

調べてみた。
あん い [1] [0] 【安易】( 名 ・形動 ) [文] ナリ
①困難がないこと。たやすいこと。また,そのさま。 「 -な問題」
②特別な工夫や努力のないこと。深く考えないこと。また,そのさま。 「 -に流れる」 「 -な発想」 「 -に過ぎる」
[派生] -さ ( 名 )

ん?努力せずとも、たやすい?
これって天才のことじゃあないか、私は天才だったんだ。
と安易に考える私であった。


せっかくなので本を紹介。
セバスチアン・ジャプリゾ 『シンデレラの罠』
シンデレラの罠s
古い方のカバー(右)も載せておいたぞ。
 

面工職人

どうも~、この度"倉庫番のAdvent Calendar"に書かせていただくことになった
Touch面作者のkimuです。どこにもありそうな作者ネームですね(汗

ちなみに面作者は倉庫番Touchのプレイ画面の吹き出しマークをタップして入った
下記画面のここに表示されています。

IMG_0479

難しい面に出くわした場合なんかには、面作者確認して恨み言などつぶやいてくださいね。
まぁ、コメント自体あまり気に掛ける人もいないので、まして作者には興味はないかも(泣

倉庫番Touchでは面作者の他にも、
企画や面セットの構成決めたり、公式最小手数を詰めるようなことをしています。
以後どうぞよろしく。

Touchの面サイズ

倉庫番Touchは基本的にはスマートフォンを対象としたゲームなので、
面のサイズとしては余り大きな面は扱えない。

面サイズを決めるにあたって考慮することとしては
・面全体が一望できないとゲームがしづらい。
・面構成の一つのピースが余り小さくなると、こじんまりとし過ぎて長時間プレイがキツクなる。
・そも指でタップ可能な大きさでないと誤操作を招いてしまう。
ということでTouchでの面の最大サイズは13×9を基準としています。

各面作者の方々には、なるべくそのサイズ内に収まる形で新しい面を作ってもらってます。

自分もそのサイズ制限の中で、なるべく意地悪な面を作りたいと思ってはいるのですが、
どうもほかの面作者より凝ったしかけが作れない
「う~むこれは生まれ持ってのセンスの差か?」と嘆いております・・・。

まあ難しい面ばかりだとプレイヤーも息が詰まってしまいますので、
私の面は一息おいてもらうための面くらいの位置づけでヨロシクお願いします!

面作者の一番の苦悩ポイント、それは…

面を作っていて大変なのは、やっぱりコメント類ですね(笑
コメントは面を作ることとは別なスキルがいるので
毎回うーーーん書くことがない。なんか他の面で見たような内容だぞ、
もしかしたら夜中に書いたラブレターのような、
後から見たら恥ずかしいイミフなものもあるやも知れません(笑

これまでリリースされてきた倉庫番にも面コメントはあったのですが、
Touchでは、クリアメッセージというのも表示されるので困ったものです。

他の作者も困窮したところから捻りだしてはいると思うので、
そんなことを思い浮かべながら冷めた目で読んでやってください。

次回は、公式最小手数について書いていこうかなぁと思います。
それではまた覗いてください。

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